「イエス・キリストを信ず」(使徒信条4)
イエス・キリストは名前と苗字ではありません。「イエス」は母マリアと父ヨセフが神の示しにより付けた名前です。旧約聖書に現れてくるヨシュアという名前に当たります。それは「主は救い」という意味です。その名前はこの御方が「救い」のために来られたことを示しています。一方、「キリスト(クリストス)」は「メシア(マーシーァハ)」という言葉のギリシア語訳です。メシアとは「油注がれた者」という意味です。油注ぎという行為はもともと神による任職を意味しました。かつてそのように任職された職務の代表は預言者と祭司と王です。そこからやがて「メシア」はそれらの職務を究極的に担う、来るべき救い主を意味することとなりました。そのように、イエス・キリストという言葉は、それ自体で「あのナザレのイエスという人物こそメシアである」という信仰を表現しているのです。
イエスこそメシア、まことの預言者です。かつて旧約の預言者はその言葉を通して神の御意志を人々に伝えましたが、この御方は御自身の人格と存在とをもって神の救いの御心を私たちに伝えてくださいました。また、イエスこそメシア、まことの祭司です。十字架の死において私たちの罪を贖ってくだり、復活され天に挙げられた御方は、永遠の大祭司として御父の御前で今も私たちのために執り成していてくださいます。そして、イエスこそメシア、まことの王です。天に挙げられた御方は、御言葉と御霊とによって私たちを治め、完全な救いにあずかる者として私たちを守り保ってくださいます。そして、やがて再び来られて、この世界のまことの王として御自身を現されるのです。 (清弘剛生)
そこでイエスがお尋ねになった。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」ペトロが答えた。「あなたは、メシアです。」 マルコ8:29
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